Dr.馬人の地サイダー探訪シリーズ~⑦山形パインサイダー(製造:山形食品株式会社)
唐突だが、私は趣味の一環として「日本地サイダー学会」の東北地方支部で、日本各地の地サイダーに関するデータ収集と品評を行っている。
名は、仮に「Dr.馬人(ドクトルうまびと)」とでもしておこう。
このシリーズ記事では、日本各地でひっそりと生産・流通している地サイダーにスポットを当てて、その魅力や美味しさなどを世にじわじわと広めることを目的としている。
さて、今宵もさっそく「地サイダー」の世界に、貴方(貴女)をいざなおうではないか。
第7回目に取り上げる地サイダーは、こちらである。
山形パインサイダー(製造:山形食品株式会社)
購入日時:2018年5月X日
購入場所:道の駅尾花沢 直売所(山形県尾花沢市)
総評:
まず一口、口に含むべくグラスに顔を近づけると、ほんのりと「パインアメ」の甘い香りが漂ってくる。
缶には、しっかりと「無果汁」と書いてあり、パイナップル由来の味付けは一切ない。
口に含むと、果糖液糖シロップと砂糖のやや強い甘みが口に広がっていく。
スクラロースなどの人工甘味料は入っていない。
炭酸はやや強めで、サイダーらしく、飲んだ後の爽快感が強い。
ベニバナ色素で淡い黄色に色づけられた炭酸水に、「パインジュース」らしさを感じるかというとかなり微妙なところで、やはり少なからず「果汁」か「果実」は使ってほしいところである。
味 ☆☆★ いたってスタンダードな味のサイダー
香り ☆☆★ まんまチープな「パインアメ」を思わせるが、甘い香りは好み
インパクト ☆☆ 色は薄黄色で透明。飾り気がなく、チープな感じはサイダーらしいか。
地サイダーらしさ ☆☆ パインサイダーの存在自体がもはや時代遅れ?オワコンなのか?
(注)
- 「味」、「香り」、「インパクト」、「地サイダーらしさ」の各項目は5段階評価で点数付け。
- 評価の数字は大きいほど高評価で、☆1つで1ポイント、★1つで0.5ポイントである。
- なお、味の評価に公正を期すために、冷蔵庫で最低10時間以上、キンキンに冷やした状態のものを飲むこととする。
王道 ←**☆**→キワモノ
前々回、このシリーズで「共栄の元祖パインサイダー」を取り上げた際、その品質の粗悪さに大いにガッカリさせられたのは先述したとおり。
今回は別会社製造のパインサイダーを試すことで、「パインサイダー」に対する偏見をなくしたかったのだが、それを覆すことは叶わなかった。
山形という雪深い北国の風土が、暖かい気候の南国に憧れ、パイナップルという南国を代表する果物の味を追い求めたことで、こういう商品が生まれたと推察できるが、誰も本当のパイナップルの味を知らないまま、推測だけでまがいものを作ってしまったという感じだろうか。
今回購入時の値段は税込100円だったが、この味やチープな品質を考えれば、こんなものか。
安売りの殿堂「ドン・キホーテ」など、店舗によっては税込50円程度の投げ売り価格で購入できるというのも納得。正直を言えば、これならば「神戸居留地」ブランドの安い炭酸飲料の方が味、コストパフォーマンスとしても上だなと思ってしまう。少しばかり残念な完成度のサイダーであった。