昭和のかほり漂う、老舗イタリアンレストラン~チロル(山形県山形市)
久しぶりに、平日の昼に市内で外食する機会に恵まれた。
ランチで行きたいと思っていた店はいくつかあるんだけど、さてどこに行きますかねぇ…。
ラーメンや蕎麦は最近よく食べてるし、定食系かイタリアンなんかがいいかな。
よし…! ならば、今日はあっこのイタリアンランチを食べに行きますかねぇ。
ということで、車へ飛び乗り、一路、七日町を目指す。
山形市七日町といえば、昔から大沼デパートがあり、商業や飲食街の中心地として有名である。
今回紹介するのは、ここ七日町で40数年営業を続けているイタリアンレストラン「チロル」さんである。
レストラン近くにある、路地裏のコインパーキングに車を停めて、少しだけ街中をぶらつきながら、チロルを目指す。
しばらく七日町には来ていなかったけど、結構飲食店が入れ替わっているもんだなぁ。
(いくら商業・飲食街の中心地とはいえ、もう十何年も前から「街の空洞化現象」が叫ばれていて、集客力がかなり落ちていると聞いているから、新規出店しても、固定客を捕まえる前に店の体力が持たずに潰れていくんだろうなぁ…)
さて、そんなことを考えているうちに、チロルが入居しているビルの前までやってきた。
イスには「本日のランチメニュー」を伝えるボードが置かれている。
壁に設置されたショーウインドウに飾られた食品サンプルによるメニュー紹介は昔も今も少しも変わらない。
ビルの階段を上がり、チロルの入り口扉を開ける。
「カランカラン♬」と扉に括(くく)りつけられたベルが鳴り、女性店員が「いらっしゃいませー」と声を掛けてくれる。
店員「席空いておりますので、どこでもどうぞー!」
傍(かたわ)らにある4人掛けテーブルに腰かける。
女性店員が、お冷やとメニュー表を持ってこちらへやってきた。
メニューを見るまでもなく、もう外のディスプレイとかで「本日の日替わりランチ」を頼む気でマンマンなんだけどね(笑)
↑元はワインかビールが入っていたと思われる瓶で、お冷やが提供される。ピッチャーよりも風情があって、実に好みである(笑)
お冷やを受け取り、「すみません、本日の日替わりランチをお願いします」と注文する。
「では、ライスかパンか、お選びいただけます」「じゃあ、ライスをお願いします」
「飲みものもお選びいただけます。コーヒーはアイスかホット、あとオレンジジュースになります」「じゃあ、アイスコーヒーを食後にください」
「はーい、かしこまりましたー!」と、メニュー表を持ったまま、店員はバックヤードに下がっていった。
さて、料理が出来上がってくるまでは、スポーツ新聞でも読んで、待っていましょうか。
スポニチを置く飲食店が多い中、このお店は日刊スポーツを置いてくれている。
セ・パ交流戦の結果や本日の公営競技(競馬、競輪)を確認しながら、マターリと料理が出てくるのを待つ。
…少しして、女性店員がスープを持ってこちらへやってきた。
店員「スープです」
馬「どうもありがとう」
うほー、来た来た、来ましたよ! 久しぶりに味わう、チロルの日替わりランチである。
では、さっそく、いただきます。
本日のスープは、「チキンカレー風味スープ」だという。
まずは、スプーンで一口分をすくって、そのまま口の中へ。
おそらくは他のメニューで出たクズ野菜なのだろうが、みじん切りにされたニンジンやキャベツ、タマネギ、コマ切れの鶏肉が入った、カレーとコンソメが利いた温かいスープが美味しい! なんだか、不思議とホッとするような味わいだ。
そうして、スープを飲んでいるうちに、主菜とライスのお皿が運ばれてくる。
「ハンバーグのミルフィーユ仕立てに、ボイル野菜のサラダ」が一皿にまとめられている。
やっぱり最初の一口目はハンバーグからだな!
ハンバーグを一口分に切り分け、その一切れにパクリとかぶりつく。
(おお、生クリームがかけられているデミグラスソースがまろやかで、濃厚だねぇ。
ミルフィーユ仕立ての意味が何なのか分からないでいたけど、上からチーズ、焼きキノコ(シイタケ)、ハンバーグ、ベーコン、ハンバーグと何層にも重ねられていたんだ。味も去ることながらボリュームもあって、これは嬉しいねぇ)
ボイル野菜サラダには、ちょっとだけ自家製と思われるフレンチドレッシングがかかっている。
トマトにキャベツ、ニンジンにレタスのサラダは、濃厚なハンバーグに対して、さっぱりとした味付けで、口直しにはピッタリだ。
下の方のドレッシングがかかっていない野菜は、余ったデミグラスソースをたっぷりと絡めて食べると、これまた美味しい!
主菜とライスをガツガツと食べ進んでいくうちに、また次の皿とアイスコーヒーが運ばれてくる。
〆の一品は「海老のグラタン」だ。
「まだお皿が熱いですから、気を付けて召し上がってください」
今さっきまでオーブンで熱せられていたらしく、皿のフチ際のチーズがまだジブジブと音を立てているのが分かる。
熱いのに気を付けながら、グラタンの海老とチーズのかかったマカロニをそっとすくって、口に放り込む。
うん、これも出来立てだけあって、美味しい! チーズソースの塩っ気とマカロニの食感がたまらない。
まだ少しだけ残っていたライスと一緒に咀(そ)しゃくすると、ご飯の持つ甘みとグラタンの一体感が堪(こた)えられない。
出来立てのアツアツの美味しいところを一心不乱に食べる。「幸せになれる料理」とはこういうものだよなぁ。
全ての料理を食べ終わり、最後にアイスコーヒーを飲みながら、一心地つく。
いつの間にやら、新たに店にやってきたお客で店内は満席になり、ガヤガヤと賑やかに活気づいている。
(やっぱりレストランは、こういう活気がないといけないやね…。
このお店に関しては、いつまでもこの店が持つ昭和モダンな雰囲気を保ち続けてほしいところだけど)
…さて、そろそろ行きましょうかね。スポーツ新聞を綺麗に折り畳み、席を立った。
馬「ごちそうさまでした」
店員「どうもありがとうございましたー。またお越しください~」
お釣りと一緒に、期限付き(9/30まで有効)のランチ割引券(50円引)を受け取り、意気揚々と店を後にするのであった。
本日の「たまにいくならこんなお店」
チロル
電話番号:023-631-5828
営業時間:11:00~21:00 ※ラストオーダー20:30
(定休日:第2・4火曜日)
今から8年ほど前、外回りをしていた時代に、ここのランチの味を知って以来、行きつけとなっているお店である。(今はだいぶ行く機会が減ってしまったが…(泣))
日替わりランチ(日曜はお休み)は910円(税込)であるが、毎回来店するごとにランチ50円引きの割引券がもらえるので、常連になれば、もっと安く食べることが可能である。
実は、仙台市内(仙台駅前、泉区、長町)にも同名のイタリアンレストランが3店舗ある。聞いた話では、元は同じオーナーによる系列店であるとのこと(店内の雰囲気、メニューがよく似ている)。
創業40数年ということで、筆者の親世代(60代前後)が、青春時代に初めてイタリアンやピザパイを食べた、思い出深い店としていることも多いという。
ライター西村愛さんのブログでは、東日本大震災直後の店の様子などについて触れられているが、当時を知る人間としては涙なしには読めない。
・じぶん日記(ライター西村愛さんのブログ)