真っ昼間から酒が欲しくなる刺身と肴(さかな)~南三陸さんさん商店街・山内鮮魚店(宮城県元吉郡南三陸町)
先週、職場でも特に仲が良い某係長(以後、「F氏」とする)から、LINEでメッセージが送られてきた。
「仕事や息子の子守り、奥さんのご機嫌取りに疲れてきますた。
来週どこかで有給休暇を取るので、馬人おぢさん、美味いメシ、キボンヌ」と。
あー、またですか(笑)
F氏のところのお子さん(現在1歳2ヶ月ぐらい?)、少しずつ大きくなってきて、夜は手が掛からなくなってきたなんてことは言っていたけど、週末はいつも奥さんに子どもを託されて、子守りが大変だとか言っていたからなぁ。
仕事場でも、部下のことでストレスを溜めてるっていつだか言ってたし、そろそろ気分をリセットしないとダメなところまで来たんだろうなぁ。
断る理由もないし、美味しいものを食わせてもらえそうだし、OKって返事しておきますか。
「おk、了解しますた。(来週)いつ休みにするか決まったら、連絡ください」
と返信するのだった。
…3日後。今週の○曜日の夜遅くになって、珍しく携帯電話が鳴った。
電話の主は「F氏」である。
F「夜遅くにすまんね。奥さんが風呂に入りにいったタイミングを見て、電話をかけたもんだから。
俺、あさってに一日有給休暇を取るからさ。馬人おぢさんの都合は大丈夫?」
馬「ええ、大丈夫ですよ。何時にどこで待ち合わせしますか?」
F「結局、奥さんには内緒で一日仕事をサボることにしたから、朝イチの8時半でどう?」
馬「いいですよ。じゃあコ○ダ珈琲でモーニングでも食べながら、どこに行くか決めますか」
F「コ○ダ珈琲でモーニングかぁ。楽しみですな(笑) じゃあ、それでよろしく!」
奥さんに隠れながら、こっそりと電話をかけてくるのがあの人らしいなぁと思いながら、電話を切るのだった。
…それからさらに二日が経って、いよいよ仕事をサボって平日に遊びに行く日がやってきた(笑)
この日はまるで「行楽日和」とでも言わんばかりに、ピーカンの空(※)が広がっている。
(※)ピーカンの空とは…
「ピーカン」 の語源にはいろいろな説がありますが、有力なのは「ピース(煙草の銘柄)の缶」 が由来とするものです。
現在の煙草の殆どは紙のパッケージで販売されていますが、ピース(50) は缶入りです。ピースという煙草は昔からある銘柄ですが、そのピース(50) の缶が鮮やかな青だったので、ピースの缶のような青空=快晴の事を、「ピーカン」 と呼ぶのだと。
また、「空がピーピーカンカンと晴れている」という言葉遣いがあり、そこから来たという説もあります。これは、「ピーピー」 が、天気の良さに喜んだヒバリの鳴き声で、「カンカン」 は、太陽が照りつけている 「かんかん照り」 の 「カンカン」 だというものですが、こちらもなかなか説得力のある説かもしれません。
(「ピーカン 死語」で検索した結果より、関係するところを一部抜粋、編集済。)
コ○ダ珈琲南館店で待合せした我々は、まずは腹ごしらえをすることに。
「たっぷりアイスコーヒー」で喉を潤し、モーニングの小倉あんトーストをパクつきながら、しばしの間、仕事場での情報交換をしたり、愚痴をぶつけたりするのであった。
馬「さて、時間もそろそろ10時ですし、どこに行くか決めましょうか。どこにします?
天気もいいし、海でも行きますか?」
F「海かぁ、いいねぇ! 南三陸町か石巻あたりで、昼メシに海産物でも食べますか!?」
ということで、トントン拍子に話が進み、まずは石巻・南三陸町方面を目指すことになったのであった。
…山形道~東北道~三陸道と高速道路を乗り継いで、走ること約3時間。
着いたのは、元吉郡南三陸町である。
震災後、南三陸町にやってくるのは実は初めてだったのだが、あれから7年が経った今も、街のいたるところに震災の爪痕は残されている。
被災してそのままにされた廃病院や、コンビニ以外に何の建物も建っていないだだっ広い土地、盛り土がされた堤防に、護岸工事が今も続いている河川敷など。
ここで起こったことに思いを馳せ、今こうして生を得ていることに感謝をしながら、目的地である「南三陸町さんさん商店街」にたどり着いた。
F「さて、まずはどんなお店があるのか、ざっと見てから何を食べるかを決めよう」
先導するF氏についていきながら、どんな飲食店があるかをリサーチしていく。
キラキラうに丼、まぐろイクラ丼、海鮮丼などの掲示写真が目に飛び込んでくるが、値段は目玉が飛び出るぐらい高い!
(うに丼が3,000円、4,000円オーバーって、手が出ないよ…)
しかも、今日は定休となっている飲食店も何店舗かあり、入れるお店も限られているようだ。
そうして歩いていくうちに、「山内鮮魚店」の前へやってきたときに、こんな気になる掲示を見つけた。
「刺身バイキング、やっています!」
馬「刺身バイキングって何なんですかねぇ?」
F「さて、分からんなぁ…。ひとまず店内に入って聞いてみるか?」
ということで、いざ店内へ。
F氏にうながされ、鮮魚店のアン(兄)ちゃんに話を聞くと、どうやら刺身一種(5~6切れ)ごとに300円(まぐろ、うには500円)で、お好みの刺身を販売・提供しているのだという。
(う~む、面倒だからありったけの刺身をもらっちゃいますか!)
馬「すみません、ここにある刺身と小皿の海産物を全部ありったけ、1個ずつください!」
アンちゃん「ぜ、全部ですか? 分かりました。少々お待ちください」
刺身一式と「ご飯・味噌汁のセット(300円×2人分)」と合わせて、レジで会計をしてもらう。
〆て5,300円だが、二人で割り勘すれば3,000円以内である。ウニだけでなく、他にも色々な味の刺身が楽しめるならば、こっちのほうが安くていいだろう。
刺身とご飯セットを持って、屋外にある飲食スペースを目指す。
潮風がさわやかに吹き抜ける明るい屋外で、メシを食べるのはなかなかに乙なものである。
F氏とともにテーブル席に腰かけて、いざ実食である! では、いただきます!
↑一番左「タコの唐揚げ」、小皿左上から「イクラの醤油漬け」「ウニ」「イカの塩辛」「アンコウの肝和え」である。
どれも気になるが、ここはあえて刺身ではなく、まずは一番気になっていた「アンコウの肝和え」に箸を伸ばす。
肝の甘みと身のポクポクした感じがマッチして、これは最初の品から日本酒が欲しくなる味である。(私は残念ながら下戸なので、ご飯で我慢ですが…(笑))
イカの塩辛も、ほのかな磯の香りが口中に広がり、海に来たことを感じさせてくれる。
ウニもとろけるような食感で、この甘さは何と表現したらよいのか分からないぐらい美味い!
イクラの醤油漬けは、ご飯と一緒に咀しゃくすると、これまたプチプチとした食感と塩味が最高である。
↑左上から「ホヤ」「タイ」「エンガワ」、中左から「スズキ」「タコ」「クロソイ」、左下から「マグロ」「アイナメ」「サーモン」の刺身。
おっとっと。肝心の刺身類を食べるのを忘れちゃァいけない。
サーモンを、まずは一口。
身に脂がほどよく乗った身は、トロリとして美味である。
ホヤは生臭さが全くなく、コリコリとした食感がたまらない。
タイも淡い白身魚の旨みが舌の上で広がっていくのが分かる。
どの刺身も新鮮でほどよい歯ごたえを残しつつも、熟成が進んで旨みも出てきた頃合いになっていて、本当に箸が止まらない。
↑在りし日の、サマランチ国際オリンピック委員会(IOC)会長
馬「この美味しさは、まさに『タマランチ会長』ですねぇ! F氏!」(親父ギャグ)
F「『堪(たま)らない』美味しさに、『ランチ(昼食)』を掛けてきましたか! 馬人おぢさんもいいオッサンですなぁ(笑)
でも、座布団一枚、進呈! はっはっは(笑)」
こんな感じで、F氏との昼食はあっという間に終わっていくのであった。
馬「ふー、食いましたなぁ…。しかし、F氏、今日の昼飯は本当にごちそうになっちゃっていいんですか? 遠慮なくゴチになりますよ? ごちそうさまです!」
F「ガソリン代と高速代を(全部は)出せないから、せめてこれぐらいは出さないとねぇ」
F、馬「じゃあ、そろそろ行きますか! ごちそうさまでした!(×2)」
商店街の中にあるコンビニで食後のお茶を購入し、一服したところで、我々はゆっくりと「南三陸町さんさん商店街」を後にするのであった。
願わくば、次の商店街訪問時には、もっと南三陸町の街の復興が進んでおりますようにと思いながら…。
本日の「たまにいくならこんなお店」
電話番号:0226-46-2159
営業時間:8:00~18:00
(定休日:不定休)
画像を見てもらえれば分かるとおり、刺身一式と小皿だけで3~4人前はあるぐらい、量もある美味しい一品であった。
「仕事をサボっているため、酒が飲めなかったのがきわめて残念」と、F氏談(笑)
平日でも結構な賑わいを見せていたので、土日ともなると駐車場に車を停めるだけでも大変そうな感じがしました。
でも、たまには一日ぐらい、平日に仕事をサボって南三陸町へ美味しい魚と肴に舌鼓を打ちに来るのはいかがでしょうか?(笑)
青空の下で潮風に当たるだけでも、なかなか気持ちがいいですよ(^◇^)