昭和の雰囲気漂う食堂で、豚モツ煮込み定食~春日食堂(山形県天童市)
先日、福島へ野暮用で出掛けた関係で、愛車のガソリンがほぼなくなってしまったこともあって、久しぶりに東根市の行きつけのガソリンスタンドに向かうことにした。
さて、せっかく天童・東根方面へ行くのだから、今日はどこで食事を楽しもうかな…と思案していたところで、1軒気になっていた食堂があったことを思い出した。
それが、今回紹介する「春日食堂」さんである。
国道13号線を天童・東根方面に車を走らせていると、道沿いにポツンとある、昭和の雰囲気漂う食堂に一瞬だけ目を奪われる。
道路わきには、黒字で「山形県産豚もつ煮込み」と書かれた白地の幟(のぼり)が何本も立っており、何とも言えない興味・関心を否応にもそそられるのだ。
というわけで、夕方の営業時間を狙って、気になっていた食堂に思い切って飛び込んでみることにした。
時間は17時半の少し前。
駐車場に車を停めると、先客がいるらしく、車が1台停まっている。
いつものことだが、初めて入る店だけは、誰かしら客がいるというのが何となく心強い。
紺ののれんをくぐり、引き戸をガラガラと開けて、お店へと足を運び入れる。
「いらっしゃいませー」と、店の女将さんとおぼしき、年配の女性が出てきて声を掛けてくれる。
「空いているお席へどうぞー」
勧められるがままに、4人掛けのテーブル席へ腰かける。
ふと周りを見渡すと、年季の入ったビニールの背もたれの椅子とテーブル、色褪せたコンクリートの壁や畳敷きの座敷席、とにかく店内のすべてが昭和の雰囲気をプンプンと漂わせている。
(何だか、30年近く昔に、タイムスリップしてきたような感じだな…)
と一瞬思わされるのだが、テーブルに置かれた山形新聞には、間違いなく「平成30年6月XX日」と現在の日付が書かれてある(笑)
気を取り直して、(さて、何を注文するかな…)とメニュー表を手に取る。
先に客としてやってきていた営業マンと思しき男性は、どうやらラーメンとモツ煮込みを食べているようだ。
(「A定食(ラーメン+半ライス+もつ煮込み)」もいいなぁ…。
だが、今日はラーメンを食べたい気分ではないんだよなぁ。
ここはシンプルに、「もつ煮込み定食」をいただくとするかなぁ)
「すみませーん、もつ煮込み定食をください!」
「もつ煮込み定食ですねー。少々お待ちくださいー」
山形新聞を開いて、のんびりと読んで待つこと、5~6分といったところであろうか。
木のふたをされた状態でグツグツと煮込まれた、小さな鉄鍋が乗せられたお盆がやってきた。
ウヒョー、来た来た、来ましたよ!
県産の豚もつを使っているという触れ込みのもつ煮込み定食―、公営競技場で数多(あまた)のモツ煮込みを食してきた、この馬人おぢさんがその味を確かめてくれようぞ!
さっそく鉄鍋の木ぶたを取る…。
まだグツグツと鍋は煮立った状態で、そのままもつ煮を口に入れたら、やけどをしてしまいそうである。
テーブルにあった一味唐辛子を少しだけまぶし入れて、まずは箸で一口分をすくい上げる。
ふーふーと、箸で持ち上げた「もつ煮」を冷ましながら、パクリと一口。
(これは…、んめぇなーっ!(´∀`=)
丁寧に下処理がされているのか、もつには全くといってよいほど嫌な臭みがないときたもんだ。
そのうえ、味噌の味がよく浸み込んでいて、豚モツ自体が持つ甘みとマッチしている。
また、噛まずとも、フワフワと口の中でとろけていきそうなモツの歯ごたえがいい!
素材の味だけで勝負していた、ドライブイン豊山(新潟県新発田市)の豚もつ煮込みも美味かったけど、ここのモツ煮込みもベクトルの向きこそ違うものの、これまたとんでもない美味しさだ…!)
鉄鍋にはこちらが思っていた以上に豚もつが入っており、大盛りのご飯と一緒にバクバクと食べ進めてもなかなかその量は減らない。
それでも、もつ煮が食べ飽きることはちぃっともなく、また次の一口がすぐに欲しくなるぐらいだ。
鉄鍋を綺麗に舐め取るがごとく空っぽにし、最後に、ワカメの味噌汁を飲み干して、定食を食べ終えると、何とも言えない清々しい気分が込み上げてきた。
ふぅ~。これだけ地味でありながら、美味しいもつ煮を口にしたのは本当に久しぶりだ。
…グラスに残ったお冷やを飲み干し、自分は席を立った。
(また今度来たときは、A定食を食べるか、もつ煮込み定食を食べるかで悩みそうだなぁ…(笑))
そうひとりごちながら、会計を済ませて店を後にするのであった。
本日の「たまにいくならこんなお店」
春日食堂
電話番号:023-653-6432
営業時間:11:00~14:30 17:00~20:00
(定休日:毎週火曜日)
店やメニューはとにかく地味ながら、丁寧な仕事ぶりが目につくこのお店。
この場所で営業して40数年を数えるらしいのだが、今まで店の前を何度となく通っていながら、ずっと素通りしてしまっていたのが、とにかく悔やまれる。
銀シャリと一緒に口に放り込む豚モツ煮の何と美味しいことか。
競輪、競馬、競艇、オートレースと数多くの公営競技場で、もつ煮込みを食べてきた自分だが、このお店のモツ煮込みは「3本指に入るぐらい」の美味しさであると断言しよう。
天童・東根方面で通いたくなるお店がまた1軒増えたのは、大きな収穫であった。