自家焙煎の上質なコーヒーをオトナの隠れ家で~シャンソン物語(山形県山形市)
(前回から続きます)
わざわざ市役所までやってきたのにはいくつかの理由があった。
ひとつは自宅を掃除していて、10年以上前に購入した旧型のノートパソコン(「WindowsXP(!)」だから相当古いことが分かるだろう)を発掘し、いい機会なので今回処分(自治体を通じて廃パソコンを寄付)してしまおうと思ったこと。
もうひとつは、近い将来に車の購入と現在所有している車を処分(売却or廃車)するであろうことから、それらの契約に必要となる印鑑登録証明書を今から準備しておこうと思ったことである。
引っ越し(転入・転出)がまだ盛んな時期ではないため、それほど窓口で待たされることもなく、任務は無事に終了となった。
さて、最低限の用事は済ませたことになるけど、これからどうしたもんかなぁ。
七日町に来る機会なんてそんなにあるもんでもないし、もう少し探索してみるとするかなぁ。
…自転車を引きながらメインの通りをトコトコ歩いていると、どこからともなくコーヒー豆を焙煎するいい香りが漂ってくる。
ああ、いい香りだなぁ。この香りからすると「深煎り」かな。
コーヒー豆の焙煎をやっているところを間近で見かけたのは、酒田市にある「喫茶ケルン」以来だろうか?
たまには缶コーヒーやコンビニコーヒーなんかじゃなく、本格的に淹れたコーヒーを一杯飲って、ここ最近の荒(すさ)んだ気持ちを落ち着かせるのもいいかもなぁ。
半地下にある店舗が、オトナだけの社交場というか秘密基地のような雰囲気を漂わせていて、期待に胸が高まる。
フラフラとまるで誘蛾灯に吸い寄せられるように、階段を下りて店内へ。
…おおぉ、なんとクラシックな雰囲気漂う、店内なんだろう。
テーブルや椅子、電灯などの調度品を見ていると、この空間だけ「昭和」にタイムスリップしたような感じだ。
「シャンソン物語」という店名が示すように、店内は有線放送ではなくシャンソンが流れていて、日々の喧噪を忘れてしまいそうな、ゆったりと心からくつろげる空気がここにはある。
初めて入るお店はどうしても緊張するもんなんだけど、不思議と落ち着くなぁ…。
だが、書棚を見ると、一般的な喫茶店には必ずある低俗な「スポーツ新聞」の類いはなく、芸術や美術、古典や文化を取り上げる月刊誌や季刊誌がズラリと並び、普段自分が行くような喫茶店とは一線を画していることが良く分かる(笑)
さて、まずは何か注文しないとな。
まずアイスコーヒーは外せないとして、あとは何があるかなぁ。
事前に下調べとかもしないで入店しちゃったけど、このお店はトーストとワッフルが名物(メイン)のようだ。
ランチセットもあるし、この「パリの朝市」ってのにしてみるかな(ランチなのに、朝だけどな(笑))
馬「すみません。パリの朝市のセットを、アイスコーヒーに変更でお願いします」
店員「はい、かしこまりました。少々お待ちください」
…たまには、こういうお店に入るのも経験、勉強だよな…。
お、「自遊人」があるな。これなら前にどこか別の喫茶店で読んだことがあるし、興味深い記事もあるかもな。
先にトイレを済ませ、パラパラと本をめくっているうちに、ランチのセットが提供される。
店員「お待たせしました。『パリの朝市』とアイスコーヒーでございます」
おお、グラスとかえらい凝っているもんだなぁ!
このトーストのチーズのとろけ具合といい、シナモン生クリームが示す圧倒的存在感といい、これはトーストの王様と女王の組合せとでも言うべきかな。
「猫の肉球」を模したヨーグルトも、さりげなく遊び心があってカワユイし。
これはたまりまへんなぁ( *´艸`)
最初はガムシロップもミルクも入れない状態でいただいたアイスコーヒーは非常に香り高く、味に深みと渋み、コクがある。
こんなに美味いコーヒーをいただくのは久しぶりだなぁ…。
フレンチドレッシングのかかったミニサラダ、トースト、ヨーグルト、たしかに値段はそれなりにしたが、どれも美味しく、完成度が高い。
自遊人を片手に、鶴岡市の「ショウナイホテル スイデンテラス」事業の取り組みなどを興味深く読みながら過ごすのだが、ふと時計を見ると1時間半があっという間に経過していた。
時間が経つのがこんなに早いとはなぁ…。よほど居心地が良かったんだな(笑)
自分より後に入ってきたお客さんが2組帰ったことだし、キリのいいところで自分も帰るとするかな。しばらく自転車生活を強いられることだし、また来る機会もあるだろ。
朝飯こそ食わなかったけど、午後にランチを2カ所で食ってしまったらカロリーの摂取量は変わらんよなぁ…。頑張って、帰りの道のりも自転車を漕いでいくとしますかぁ(笑)
そんなことを思いながら会計を済ませて、自分は店を出た。
夕方の陽が落ちるまでの時間が少し延びたとはいえ、まだまだ外は冷たい風が吹き抜ける中、寒さに首をすくめながらキコキコと自転車を漕ぎ出す馬人おぢさんであった(終)
本日の「たまにいくならこんなお店」
シャンソン物語
電話番号:023-641-6395
営業時間:(月~金)11:00~19:00 ※早じまいする場合あり
(土日祝)12:00~18:00
(定休日:不定休)
※ランチは平日限定(11:30~15:00)とのこと。
シャンソン物語という言葉だけを聞いて、皆さんは何を思い浮かべるのだろうか。
「物語」つながりで、パチンコ好きならば「海物語」や「清流物語」、ドラマ好きならば「探偵物語」辺りを想像するのだろうか(笑)
それはどうでもいいとして、市役所や山形銀行本店、大沼百貨店から徒歩数分の場所にあるからか、年配の女性が一人でやってきて、コーヒーor紅茶とワッフルを注文して飲食している風景を今回の訪問中に数人見かけた。
オトナの隠れ家で、上質なひとときを過ごすにはもってこいの場所なのだろう。
山形市内に来られたら、店員とのほどよい距離感、静かで落ち着いた空間での一服をぜひお試しいただきたい。