Dr.馬人の地サイダー探訪シリーズ～⑥仁手古（ニテコ）サイダー（製造：六郷まちづくり株式会社）
唐突だが、私は趣味の一環として「日本地サイダー学会」の東北地方支部で、日本各地の地サイダーに関するデータ収集と品評を行っている。
名は、仮に「Dr.馬人（ドクトルうまびと）」とでもしておこう。
このシリーズ記事では、日本各地でひっそりと生産・流通している地サイダーにスポットを当てて、その魅力や美味しさなどを世にじわじわと広めることを目的としている。
さて、今宵もさっそく「地サイダー」の世界に、貴方（貴女）をいざなおうではないか。
第６回目に取り上げる地サイダーは、こちらである。
仁手古（ニテコ）サイダー（製造：六郷まちづくり株式会社）
購入日時：2018年４月Ｘ日
購入場所：道の駅おがち「小町の郷」直売所（秋田県湯沢市）
総評：
まず一口、口に含むべくグラスに顔を近づけると、ほんのりとリンゴの爽やかな香りが漂ってくる。
アサヒ飲料の三ツ矢サイダーに近いが、香りの度合いはこちらの方が少し弱い感じ。
ラベルには、「無果汁」と書いてあり、地サイダーには珍しく、フルーツの味付けなどは一切ない。
口に含むと、果糖液糖シロップの含有量は抑えられているらしく、代わりに人工甘味料（スクラロース（※））の微かな甘みが口に広がっていく。
※スクラロースとは…
スクロース（ショ糖）の約600倍の甘味を持つ甘味料である。が、砂糖のように体内で炭水化物として消化、吸収はされないため、生理的熱量はゼロである。
同じく高甘味度甘味料であるサッカリンやステビアなどで指摘される苦味や渋みがほとんどなく、後甘味で後引きがあり、砂糖に似たまろやかな甘味質。他の糖質、高甘味度甘味料との併用により甘味度、甘味質とも増強する傾向があり、清涼飲料水やアイスクリーム等に使用されている。
名水百選に選出されている「六郷湧水群」の湧水が使われているせいか、炭酸水そのものの味が非常に良く、余計な混ぜ物はあまりしていない（というか、必要ないのかも？）姿勢が伺える。
炭酸は強めで、飲んだ後の爽快感が強い。
瓶は今どきのリターナブル瓶であるが、中身は飾り気のない、昔ながらの正統派サイダーを地で行く感じが好印象の一品である。
味 ☆☆☆☆ スクラロースの微かな甘みが、元の炭酸水の品質の良さを引き立てている
香り ☆☆★ リンゴとおぼしき、微かではあるが爽やかな香りが良い
インパクト ☆☆☆ 色は無色透明。飾り気のない正統派サイダーだが、その無骨さが好印象
地サイダーらしさ ☆☆☆☆ 名水百選に選出された地元産の湧水を使っている点に着目したい！
（注）
- 「味」、「香り」、「インパクト」、「地サイダーらしさ」の各項目は５段階評価で点数付け。
- 評価の数字は大きいほど高評価で、☆１つで１ポイント、★１つで0.5ポイントである。
- なお、味の評価に公正を期すために、冷蔵庫で最低10時間以上、キンキンに冷やした状態のものを飲むこととする。
王道 ←☆＊＊＊＊→キワモノ
前回、このシリーズで「共栄の元祖パインサイダー」を取り上げた際、その品質の粗悪さに大いにガッカリさせられたこともあって、今回は自分が10年以上愛飲している、正統派の地サイダーを敢えて選ばせてもらった。
今回購入時の値段は税込160円だが、この品質の良さと飲んだ後に得られる爽快感を考えれば、ややお買い得だと思う。
（地元スーパーなど、店舗によっては税込130円前後で購入することもできるというので、より安く買えるところを探すのも良いだろう。）
これからも、東北地方を代表する地サイダーとして末永く販売されていくことを強く願いたい逸品である。
